宮2を夢見て~シンとチェギョンの物語~
韓国ドラマ「宮」に魅せられて未だ「宮2」をあきらめられず、あれこれ妄想しています。
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進め! 39
公務を終えたチェギョンを大勢の記者達が囲む。
車に乗り込む前に、皆一言でも話を聞きたいのだ。

ユ尚宮とイギサがしっかりガードしていて、記者達はなかなか近付けない。

「皇后様、ハナ様はお元気ですか?」

「お誕生日以来、ご様子を拝見できませんが
もうお話などされるようになられましたか?」

「皇后様、久しぶりにハナ様の可愛い笑顔を拝見したいです。」

始めてのお誕生日に、宮はハナの韓服姿の写真を公開した。
宮内を歩き回る様子や、両親と遊ぶ姿も動画で公開し
国民達はその可愛らしさに熱狂。
あまりの関心の高さに、宮はむしろ慎重になり
ハナの露出を控えるようにしたのだ。

記者達の質問に応えようと、チェギョンはユ尚宮とイギサを制しふり向いた。

「ご心配をありがとうございます。
ハナはすごぶる元気です。
宮内を走り回り、ついて歩く私達が疲れてしまうほどです。
近いうちに、宮の広報よりお知らせができますよう計らいますので
お待ち下さいね。」

チェギョンの肉声も久しぶりだった。
最近では少し離れた場所から、にこやかに手を振って応えるのが常で
以前のように記者達との楽しい問答が減っている。
それは妃宮時代の気楽さと、皇后になった今の違い。
一つの言葉も重い意味を持つ立場に、慎重にならざるを得ないのは承知だ。
だが、国民達はチェギョン妃の天真爛漫な姿が見たいのだ。
時々軌道を外れて、庶民のところにやって来てくれるお妃様が好きなのだ。
いくつになっても可愛い笑顔は健在だけど、皆は少し淋しかった。

「楽しみにお待ちいたしますね。」

「皇后様、もう一言お願いできますか?」

「皇后様~。」

記者達の声は、チェギョンに重なる様にガードするイギサ達によってかき消された。






それから3週間が過ぎた。

ジノからもジミンからも、全く連絡は入ってこない。
そんなに容易く事が運ぶとは思っていないけれど、
無しのつぶてという事は、相当難航しているとみていいだろう。

それにしても・・・とチェギョンは少し不服そうに頬を膨らませる。
ジミンからメールの一つくらいあってもいいのでは?
それぞれの仕事が忙しいのは重々わかっているけど
なーんにも進展していないのだろうか?

遊び疲れたハナが昼寝をする傍らで、
チェギョンは目にも止まらぬ速さでメールを打つ。

「返事を待ってるわよ、ジミン。」

そう言って話しかけるのは古い携帯電話。
以前ジェヨンに番号の漏洩を指摘されて、新しいものに変更した。
だが、これはこっそり持っている。
オ尚宮によって東宮で幽閉された時に大活躍したいわくつきの電話。
今となっては、シンとジョンミンしか知らない番号だが
最近新たにジミン、ジノが加わった。
持ち続けるには無理がある機種だが
チェギョンは捨てられない。
今でもこっそりと、自腹で料金を支払っている。
宮の経理課では公然の秘密だ。





「ゲッ、催促のメールだわ。」

ジミンは見なかった事にしたい。
この3週間、持っている仕事も忙しく 文字通りキリキリ舞いだった。
かと言って、ユニの事を放り出していたわけではない。
施設に潜り込むのは、もう無理だから
彼女の帰りを狙って何度か待ち伏せを試みた。
だが、彼女は同僚と一緒に住んでいるらしく
帰宅中に一人になる事がない。

思い切って声をかけようとしたのだが
もし失敗したら、もう成す術がない。
躊躇っているうちに、すぐ近くにある小さなマンションに
彼女は消えてしまうのだ。


ジミンはメールを返した。

  『明日、彼女の帰宅時に必ずトライします。』

それはチェギョンに向けてよりも、自分に言い聞かせるためだ。

あの時、妃宮だったチェギョンは 確かにジミンを理解してくれた。
皇太弟に向って「謝る様に」と言ってくれた。

女子刑務所にいる間、ずっと考えた事の一つ。

女性が同じ女性を落としめて、どうすんだ!
男社会で生き抜くのに、女性であることのハンディはまだまだ多い。
女性が女性を守り合う事も必要ではないか。
前に進むのを躊躇っている人の背中を、ほんの少しでも押してあげられたら・・・

だから、猛勉強して記者になった。
もちろんジノの尽力があっての事だが、
お嬢様だったジミン、前科がついてしまったジミンは本当に頑張ったのだ。


「アジャ、ファイティン!!」

気合いを入れて、ジミンは右手を高く空に突き出した。






進め! 38
「何でチェギョンはそういうややこしい事を拾ってくるんだろうね。」

執務室で忙しそうに書類をめくるシンを眺めながら、ユルが言った。

「それはたぶん・・・いや、確実に 僕達よりちゃんと世間を見ているからだ。」

「公務の時も鼻を利かせて?」

「ああ。」

「でも、その女性記者っていうのは大丈夫なの?
本当に信頼できる人物なのだろうか?」

ユルは心配そうに眉をひそめる。

「大丈夫だろう。
ジノの弟子みたいな存在らしいから、滅多な事は無いと思うが。」

シンは全然心配していないようだ。

「ジノは信頼が厚いんだね。
でもね、用心した方がいい。
今でも宮の第二皇子を皇帝にしたくて、君達を油断させているかも?」

「はん! バカバカしい。」

「チェギョンのお人よしが移ったかな?
皇帝なんだから、もっと慎重にならないと。
それにチェギョンはそんな事に首を突っ込んでいる場合じゃないと思うけどね。
まだ本調子じゃないんだから。」

「だからだ。
同じマスメディアに関わる人達に接することで、彼らと信頼関係が築けたら
むしろ快方に向かっていくのではないかと思うんだ。
皆チェギョンが憎くて記事を書いているわけじゃない。
興味があるから、話題にしたいから書く。
その辺りをチェギョンが割り切っていけたら、ずいぶん楽になると思う。」

「ふうん、なるほどね。
シンはそうやって気持ちを切り替えてきたってわけか。
長年苦労してきたからこその意見だ。
だけど、その女性記者が気になるな~。」

「何だよ、美人がどうかってか?」

「それもあるけどね。」

「どうした、どうした。
彼女と上手くいっていないのか?」

「いや、すこぶる順調ですよ。
仕事を覚えるのが大変で、時々約束をすっぽかされるけど。」

「ははは・・・
道理で機嫌が悪いと思った。
慣れない環境でいっぱいいっぱいなのだろう。
ユルはちゃんと理解してやれるはずだ。
18歳のチェギョンを優しく包み込んであげてた。」

「昔の事を蒸し返すなよ~。」

「いや、反省しているんだ。
ずっと宮で育って、一般人よりも身に付けた事は多かったかもしれないが
肝心の心が成長していなかった。
今だってそうだ。
目に見える重要な案件に関わって、忙しく仕事をしているけれど
実はもっと大変な事が他にあるような気がしてならない。
チェギョンが気になるのは、たった一人の脱北者かもしれないが
韓国中を見渡せば、そういう人達がたくさん居る。
今回の件で、世間がもっと現実に向き合ってくれたら
少しは前に進めるのではないのかな・・・
もちろん、韓国は大学新卒者が就職するのも困難な現状だ。
難しい問題をはらんでいる事は重々承知の上なのだが。」

「そうだね、確かに。
宮が関わってはいけない問題だけど、
遠くから池にポチャンと一石を投じるくらいはできるかもしれない。」

「もうしばらく、黙って見守ってやろう。
ジノが付いているんだ。
チェギョンの暴走はないだろう。」

「うん。」



執務室のドアをパタンと締めて、ユルは自分の殿閣へと向かう。
廊下でふとふり向くと、チェギョンが慌しく出かけて行くのが見えた。
若草色のワンピースがヒラヒラと揺れる。
チェ尚宮から渡された白いバッグにも同色のリボンモチーフ。
つばの広い白い帽子に、足元にも真っ白なパンプス。
初夏の装い、チェギョンらしいチョイスだ。

公務と子育ての両立は、はたから見ていても大変そうだ。
今日もギリギリまでハナの傍に居て、この状況になっているのだろう。

    こんな状態なのに、チェギョンはいつの間に
    その女性記者と親しくなったのだろう?

ユルはさっきからジノと女性記者が気になっていた。
ジノは皇帝夫妻から厚い信頼を受けている。
シンとチェギョンを排除して、ユルを皇帝に据えようとした男。
ファヨンからトカゲのしっぽのように切り捨てられ
殿閣焼失事件で、やっと己の間違いに気付いた男。
それからは陰になり日向になり、宮を援護しつづけている。

    僕が言うのも変だけど、シンもチェギョンも
    ジノを信頼しすぎていないか?

年老いたソ元尚宮が愛読していた、ジノがボツにした記事達。
そこには宮愛が溢れていた。
特にチェギョンを守ろうとする彼の思いがしっかりと確信できた。
だけど、ファヨンと組んでシンをつぶそうとした彼は凄味があった。
それを目の当たりにしていたユルは、
シンやチェギョンのように心からの信頼はおけずにいる。

     そんな事を言ったら、僕も同じなんだけどな。
     
あっという間にチェギョンの姿は見えなくなっていた。

     行ってらっしゃい。
     今日もみんなにたくさんの笑顔と愛を・・・

ユルはくるりと前を向き、自分のすべきことをするために歩き出した。







進め!37
月明かりの下、ベンチに座って足をブラブラさせるチェギョンを
シンは心配そうに見ていた。

言えない、言いたくないというよりは 言いあぐねている感じで
どうやって伝えようかと考えている。
そんな様子だった。
普段は言ってしまってから考えるタイプの人間が
こんなに慎重になる問題とは一体何なのだろう?
シンはいささか不安になる。

「何かヤラかしましたか? 媽媽?」なんて軽々しく聞けるような雰囲気じゃない。

一方、チェギョンの方は。
シンに話を聞いてもらいたい。
国母と庶民の間で揺れる気持ちの葛藤を分かってくれるのは彼しかいないのだから。
でも、ジミンやジノとの関連を抜きにしての説明は成り立たない。
だから困っている訳で。
嘘つきはキライだけど、真実をほんの少し隠すくらいは許されるかな?

    そうだよ、嘘じゃなきゃいいじゃん。
    説明不足って言葉もあるし。
    真実を曲げるわけじゃないもの。

都合のいい方へと、思考が転換されてきた。
今なら話せそうだ。

「あのね、かなり重い話なんだけど聞いてくれる?」

チェギョンの長いまつげを見ていたシンは、
急に見上げられて狼狽した。






チェギョンの口からほとばしる様に出てくる言葉の数々は
少なからずシンを打ちのめした。
思ってもいなかった案件。
そして、チェギョンがここまで一人で対処してきた事。
その対応が冷静だった事も。

シンは、すぐに言葉が出なかった。

まずはチェギョンの心が寄りそう弱者の存在。
シンだって様々な情報は常に把握し、自分の成すべき事を考えている。
国民の象徴は、国民と共にあるという事だから。
だけど・・・
こういう時に思い知らされる。
高い場所から見おろして知る情報と
すぐそばに居て自らが見つける情報。
その視点の違い。
常に国民と共にある皇后は、無意識の内に彼らに気付く。
シンには決してできない事と思われた。

そして、次に思ったのは チェギョンの意識の問題。
猪突猛進という有り難くない形容をもらって久しい彼女が
意外にも冷静に対処した点だ。
自ら動く事はせずに、親しい女性記者に情報を集めてもらったという。
宮の情報部を使えば簡単な事だっただろうが
この件に宮が少しでも関わってはまずい。

それにしてもいつの間に、そんな事を頼める親しい記者がいたのか?
北朝鮮・中国・韓国にまたがる案件をここまで調べられるとは
なかなかの敏腕記者とみたが。
シンはいささか疑問を感じる。

「その女性記者が一人で調べたのか?」

「いえ、ユニさんの経歴とかはジノさんが調べてくれたの。」

「ん? チェ・ジノ?」

「そう。
女性記者のチェン・ポソクさん(ジミンのペンネーム)は
ジノさんの弟子みたいな存在で、彼とは親しいのよ。」

「なるほど。
ジノならしっかり調べた事だろう。」

ジノという名前を聞いて、シンはすごく安心した。
あれから彼はマスコミ攻撃から宮を守ってくれている。
特に皆の好物であるチェギョンのスキャンダル(お忍び)は
常に目を光らせて、あわやという時に救ってくれたりしていた。
監視カメラで見ているみたいだねと、2人で笑い合った事もあるほどに。

     ジノが付いててくれたから
     チェギョンが暴走せずに済んだかな。

シンは女性記者の存在よりもジノの名前に反応し
それ以上突っ込む事はなかった。

ほっとしたのはチェギョンだ。
シンとは何でも話し合うようにしている。
だから今回の件もシンにはちゃんと話したかったのだ。

     ちゃんと?
     まあ・・・細かい事はいいじゃないの。
     嘘はついていないもん。
     ジミン=チャン・ポソクだし。

「チェギョン、わかっていると思うがこの件は大変難しい。
宮が絶対に関わってはいけない案件だ。
慎重にしなくていけない。
ジノやポソクさんっだっけ、連絡が来たらちゃんと報告してほしい。」

シンの言葉にコクコクとうなづくチェギョン。

意外にも後ろめたさがないのは、嘘をついていないからだろう。
ちょっと言葉足らず。
誰かさんと一緒だ。
だから、平気、平気!

チェギョンは大きな瞳に満月を映して、自分自身にそう言った。


     特定の記者と親しくするのは感心しない。
     宮の機密事項が外部に漏れたりしたら大変だ。
     チェギョンに今一度クギを刺すべきか・・・
     いや、よそう。
     マスコミ恐怖症になってしまった最近のチェギョンに
     心許せる存在がいるのなら、それは復調の兆しとも取れる。
     ジノが付いているんだ、信用しよう。

シンは少し引っかかりを感じながらも、頭を振った。


「チェギョン、身体がすっかり冷え切ってるぞ。
一緒にお風呂に入ろう。」

「もうハナと入ったもん。」

「何だよ、つれないな~。
そんな事言わずに、背中を流してくれませんか? 媽媽。」

「じゃあ、浴室までお姫様だっこでね。」

「はい、仰せの通りに。 本物のお姫様❤」


「重っ!」

「落ちるじゃない! ちゃんと抱っこして。」

わざとよろけるシンの仕草は、彼の優しさだ。
知っているけど、チェギョンはポカポカたたく。

「ったく、何食べたらこんなに重くなるんだ?」

「えーとね、今日のおやつはパンケーキにたっぷりメイプルシロップをかけて
トッピングにバニラアイスとブルーベリーと」

「ああ、もういい。
聞いているだけで胸やけがしそうだ。

「美味しいのにィ~。
こらっ、よろけなーい!!」



ふざけながら去って行く2つの影を、満月がやさしく照らしていた。







進め! 36
ジノとジミンは、チェギョンが連発する「呆れた~。」を
ただ黙って聞くしかなかった。

北の工作員がユニに「アンタチャブル」なら、彼らとて同じ。
ユニという人物が近づけない相手には変わりない。

今、この時点で自分達が何をすべきかなどという答えが出る訳も無く・・・


「皇后様、私達にどうしろとおっしゃるのですか?」

情けない声でジノが言った。

「まず、ユニさんと接触を持ってほしいわ。
そして彼女が考えている事を聞き出す。
それからね、彼女がもう一度医師として歩き出すように導いてほしい。」

チェギョンは事もなげに言う。

「そんな事が簡単にできたら、もうしていますわ。」

ジミンが反抗的な口調で言った。

「私ならやる。
つべこべ言わずにやります。」

チェギョンもむっとして言い返す。

「いえ、皇后様 それはなりません。」

今度はジノが慌てて口を挟む。

「でしょ?
私が動いちゃダメなんでしょ?
悲しい事に私は籠の鳥。
この狭い宮という籠から飛び出せないの。
今すぐにでもユニさんのところに飛んで行きたいのに。」

「それはなりません。
皇后様、私達が必ず何とか致します。
どうか早まった事はなさらないで下さい。」

ジノの狼狽ぶりが伝わってくる。

「そうよね・・・所詮私はこうしてあなた達を頼りにただ待つしかないのよね。」

チェギョンは大げさにため息をついた。


「皇后様、私もこの電話番号に登録させて下さいますか?」

「もちろんよ。
私はあなた達2人を本当に頼りにしているの。
頑張って下さいね。」

ジノの申し出にチェギョンは快く言った。




電話を切ってから、ジノはしばらく放心状態だ。

これからの事で頭がいっぱいなのか、
皇后様にまんまとしてやられたのに気が付いて茫然自失なのか。
ジミンは正直呆れてしまった。

「ジノさん。」

「言うな、何も言うな。」

「いいえ、言わせていただきます。
信じられないですわ。
オテンバさんの言葉を真に受け、狼狽するなんて。
大体、オテンバさんが籠の鳥だなんて 韓国中の誰も思っていません。
時々妙な所で目撃情報が上がっているのはご存じでしょう?
と言うか、ジノさんがスクープをつぶしていらっしゃるのは知っていますわよ。」

ふぅ~。
ジノは長ーいため息をついた。

「マジックだ。
チェギョン姫マジックなんだ。
皇后様は韓国一のマジシャンだよ。
俺とした事が情けない・・・」

「ボヤいている暇はありませんわよ。
お互いに今持っている仕事をさっさと片付けて、対策を練らないと。
私は一度社に戻りますわ。
仕事が一段落したら連絡を入れます。」

ジミンはカツンカツンと小気味いい足音を鳴らし去って行った。



「奴さん、元気が出たようだな。
関わらせたくなかったが、仕方がない。
俺がユニに近づくなんて不可能だ。
こういう時は女性同士の方がいい場合もある。」

ジノは少し心配そうな表情でつぶやいた。





昼間たくさん遊んだハナは、夕食後あっけなく寝てしまった。
一緒に少しだけ眠ってしまったチェギョンは身体を起こす。
時計を見たら、まだ8時だった。

シンは王族会との会食だから、なかなか帰してもらえないだろう。
こんな風に時間が空いた時に、しなくてはいけない事は山積み。
なのだけど・・・今夜は何もする気が起きない。

ハナがぐっすり眠っているのを確認して
チェギョンは静かにそばを離れ、ドアを開けた。

エントランスの明かりは少し落としてあって
今夜の当直の女官がドアのところでお辞儀をしている。
チェギョンも会釈でそれに応える。

ベランダに目をやると、満月の光がベンチを照らしていた。
その光に吸い込まれるように外に出る。


「ああ・・・」

やるせなかった。
ベランダの手摺りに顔を伏せる。

ジノとジミンには敢えて明るくふるまったが、やるせなかった。
皇后は国母だと言われる。
韓国の母。
他国からこの国を頼ってやってきた人の母でもあるはずだ。
だが、皇后であるがゆえに出来ない事がある。

「こんな肩書きは邪魔なだけだわ。」

はっきり言って、今回の件に関してはその通りだ。
誰よりも動いてはいけない人なのだ。

ユニもこの満月を見ているだろうか?
故郷にいる人達の無事を願い、祈っているのではなかろうか?
チェギョンの胸は痛んだ。




「ただいま。」

背後からふんわりと包み込まれて、はっと我に返る。

「おかえりなさい。」

「遅くなりました、奥さん。
チェギョン、ずっとここにいたのか? 身体が冷え切っている。」

シンがぎゅっと力を込めて抱きしめてくるから振り向けない。

「お疲れ様でした、あなた。」


王族会との会食は疲れる。
ずいぶん頑張ってきたが、「伝統の継承」という言葉の前に
若き皇帝は言葉を失くす。
変わらなければ前に進めない事だってある。
それを「伝統の継承」で言いくるめようとする王族会。
いつもの議論に答えはない。
大きく重い目に見えない何かが、シンを押しつぶそうとする。
必死で支えるのがやっとの状態がずっと続いているのだ。

背中にシンの鼓動が伝わってくる。

    本当にお疲れ様・・・

    皇后の肩書きが邪魔だなんて・・・
    そんな風に思ってごめん。


チェギョンはくるっと振り向いて、力いっぱいシンを抱きしめた。

トク、トク、トク・・・

互いの鼓動が規則正しくリンクする。

ふいにチェギョンの唇がシンの唇をかすめた。



「何かあったのか? チェギョナ。」

「えっ?」

「そんな哀しいキスをされたら、心配になる。」


シンを見上げるチェギョンの瞳がゆらゆらと揺れた。






      * 皆さまへ。
  
         本日もお越し下さり、ありがとうございます。

         ご心配をおかけしましたが、ネットの状態が安定してきました。
         メールが見られなくなったり等の不具合はよくあることらしいです。
         しばらくしましたら、修正機能が働いて治りました。
         お騒がせいたしましてすみません。
    
         また何が起こるかわかりませんので、ブログに入れなかったら 
         「お知らせ」のコメント欄に現れますのでよろしくね!
         こういう対応ができて、気が楽になったわ~。
         却ってよかったかも。なんちゃって。

         では、またお会いしましょう。
         あんにょん♪


                   Luna *





皆さまへお知らせです。
皆さま、こんばんは。

今日もご訪問ありがとうございます♪

相変わらずワサワサしており、お話をアップできずごめんちゃい。
しかも、今頃インターネットを光にいたしまして
メールは使えなくなったし、このお部屋の管理画面に入れなかったり。
画面に入れないと記事を書く事もアップすることもできないのですよ~。
今宵は入れたので、さっそくお知らせしようと思い・・
只今メンテナンス中ですが、アナログ人間苦労しております。

メアドを変えると、FC2に登録し直さないといけないと思われ
面倒だから変えたくないし・・・どうすりゃいいんだ。
なんやかや、むしろ不便になりました。(泣)

もしも・・・もしもですが。
画面に入れず、皆さまにお伝えしたい事がある緊急時には
『ご挨拶』の「はじめまして」の場所に自分でコメントを入れます。
しばらく現れないな~って思われた時は、一度のぞいてみて下さい。
哀れなLunaおばちゃんがいるかもしれません。(笑)

久しぶりにお会いするのに、こんな情けない事ですみません。
チェギョンに怒られそうだわ。

では、取り急ぎお知らせまで。
皆さま、よろしくお願いいたします。(ペコリ)

直に梅雨になりますね。
お身体に気を付けて下さい。

あんにょん♪



           Luna